角館駅から15分くらい歩くと武家屋敷通りゾーンが現れる。今回の角館に来た目的は、武家屋敷の町並みを散策するため。

角館にある武家屋敷の町並みは、火除けと呼ばれる広場を中心に、北側は武家屋敷が立ち並び、南側は町人や商人が住む区域として区分された歴史的環境。集落は昭和51年に、国の重要伝統的建造物群保存地区の選定を受けている。

武家屋敷とは、戦国時代以後城下町で、武士が幕府や藩から身分や石高によって与えられ住んでいた住居。江戸時代の城下町には武家屋敷と町屋敷があり、武家屋敷は大名が所有するものは大名屋敷。上級武士から下級武士の侍屋敷まで武家屋敷と呼ばれる。
武家屋敷の多くは幕末、明治時代に建て替えられたり、改築されたりしているが、立派な門構えや生垣、石垣、良く整備された庭園がある。上級身分の屋敷から簡素な住居まで、様々な生活を伺うことができる。

黒板塀が続く武家屋敷通りは屋敷の前庭に樹木の並木があり、閑静な佇まいになっている。

標高30mの大木・細枝をしなやかに垂らすしだれ桜、色とりどりのモミジが並び伝統的な建物との調和が素晴らしい。

秋田県指定有形文化財の松本家。今宮家組下の家柄で、佐竹氏国替えとともに秋田へやってきた。江戸時代の下級武士住宅で周りは生垣をめぐらしており、門柱は二本立て、茅葺屋根屋根という簡素な様式。映画「たそがれ清兵衛」の舞台となった撮影場所。

仙北市指定史跡の小田野家。現在の屋敷は1900年に焼失したものと、江戸時代の住宅のデザインを再建し、保ち続けている。標高の高いモミジやカエデの木が植栽されている。

岩橋家。ここの建物は江戸時代末期に改造され、屋根も茅葺から木羽葺に変わったが、角館の中級武士の生活様式を今に伝えている。

表札を上げていない屋敷もあり、人が住んでいる気配も感じられない。

普通の暮らしをしている屋敷もある。


武家屋敷を観覧してみる。明治時代に再建された、仙北市指定史跡の河原田家。観覧料は500円。

河原田家は、芦名氏の会津時代からの譜代の家柄で、後に佐竹北家に仕えました。屋敷は江戸時代の武家屋敷建築様式をそのまま受け継いでおり、表座敷にはこの地方の書院造りの様式が残されています。屋敷内にはシダレザクラ、モミ、カツラ、マツ、イチョウなどの大きな樹木が植えられ、地表を覆う苔を水流に見立てると、庭全体が山水画として楽しめるように造られています。(角館ホームページより)

入り口はここからであるが、ここは脇玄関と言って家族や河原田家と同等の客人が出入りする時に使用された玄関である。

脇玄関の中に入ると受付がある。

ここが正玄関で、冠婚葬祭時や河原田家より上位の身分の者が出入りする時のみ使用されていた。

屋敷の中の間取りや屋敷の構造を、説明してくれる係の方がいる。
玄関の戸と上がり框の間に広いスペースを取っているが、寒い空気を部屋に入れないよう工夫をこらした造りにしている。


この部屋は台所になっていて当時は囲炉裏であった。中央の写真の下の畳を開けると囲炉裏が現れる。

右の部屋は主人の部屋であるオカミ。

オカミの隣りにあるのは、ナカノマと呼ばれ主人より身分の高い客人を迎える部屋だ。二曲屏風修復「山水図」平福百穂作、三森山静の襖絵「鯉図」のある部屋に招かれる。


障子の上の中心に付いている装飾は、釘の頭を隠すために付ける金属製の装飾具で、釘隠しと呼ばれる。

明治時代に製作されたひな人形。この部屋はザシキで身分の高い方を迎える部屋だ。
ひな人形で見えないが襖絵は修復「松図」三森山静作。
廊下の右奥は窓がないナンド。


2階に上がる急階段。

武家屋敷の庭には樹木各種が植えられている。この巨木ユリノキは、盛岡農林学校の同級生である宮沢賢治から結婚祝いとして譲り受けた木だ。
文庫蔵。黒漆喰扉とナマコ壁。

重要な資料や、美術品、金品など貴重品を保管しておくため、火事などに耐えられるよう頑丈に造られた蔵。
文庫蔵には、2階の部屋と渡り廊下でつながっている内蔵形式。積雪時に外に出なくても自由に出入りできる特徴がある。

屋敷に併設されている展示室。
河原田家の歴史資料や美術品や工芸品、武具など重要文化財が並ぶ。


今にも立ち上がりそうな甲冑。

河原田家観覧後、再び町並みを散策する。角館樺細工伝承館は昭和53年9月、旧角館町の伝統的工芸品樺細工の振興と、広域観光の拠点施設という二つの使命をもって開館した。入館料は500円。

佐竹歴史文化博物館は、秋田藩初代藩主の佐竹氏の鎧や黄金細工、館主の林美光の作品を展示している。

1棟貸民宿もあった。1人8,800円宿泊できる。

秋田県と言えば稲庭うどん。そろそろ12時。お腹がすいてきた。

あごだし稲庭うどん「古泉洞」

武家屋敷街にある古民家のうどん屋。

店内も美術館が並ぶレトロな雰囲気。

会計の場所も骨董品のようなものが多数置いてある。

舞茸うどんを注文した。秋田県名物のいぶりがっこがついている。

麺はつるつるとして、つゆと良く絡みあっさりとして美味しい。つゆはあぶったような風味があり後味が良い。あごだしとはトビウオを乾燥させたダシということらしい。

角館から田沢湖へ行く次の新幹線は12時57分。現在12時30分。駅までは徒歩で約17分。あと27分しかない。しかしこういうレトロな蔵づくりのお土産屋を見るとつい入りたくなる。

ひとまず秋田県現定の缶チューハイとワンカップを買う。缶チューハイは妻と娘のお土産だ。
