ポートタワーセリオンをひと通り見学したあとは、秋田市民俗芸能伝承館・ねぶり流し館を訪れる。セリオンから秋田駅行きのバスに乗り、施設からいちばん近い場所にある、大町二丁目のバス停で下車する。
▼秋田市民俗芸能伝承館・ねぶり流し館。入館料130円。

竿燈を始めとする、郷土の民俗行事や芸能の保存伝承、後継者の育成のための練習、発表の場として開館した。1階の展示ホールでは、竿燈・梵天・土崎神明社祭の曳山行事を紹介しており、観覧者が竿燈に触れ合うことができる場となっている。

昭和6年に発足した秋田市竿燈会では、県外出竿などが多くなった為昭和28年に竿燈会としての竿燈を作った。この提灯の表面には源頼朝から賜わった月丸を描いた五本骨の扇を光栄とし、この月を日の丸に改め家紋としたといわれる佐竹家の紋を、裏面には秋田市の市章である矢留のマークを描くようにした。

古くから竿燈は町内を単位として出されてきたので、その提灯にはそれぞれの町内の紋章、町紋が描かれている。この町紋は九代藩主佐竹義和侯から頂いたものだと言われているが、これは町の言い伝えで、いずれその頃(寛政-文化)できたと推定される。

夏の暑い一日が終わり夕暮れの街に涼風がそよぐ頃、8月3日から6日までの四日間、会場の竿燈大通りでは、笛・太鼓・鉦のにぎやかなお囃子が響く中、蝋燭の明かりをともした無数の提灯がいっせいに立ち上がり、勇壮な竿燈演技が始まる。

夜空に浮かび上がった竿燈は、大若・中若・幼若と大きさは様々であるが、中心なるのは大人があやつる大若だ。長さ12mの竹竿に46個の提灯を九段に分けてつるした重さ50kgもの竿燈を手のひら・額・肩・腰などにのせる技が次々と披露される。

関東の起源は夏の睡魔を追い払うため、各地で様々な形で行われていた眠り流しの行事で、それに庶民の豊作祈願が結びついて、江戸時代の宝歴年間1751年〜1763年の頃、久保田城下(現在の秋田市)の外町で始まったと言われている。

秋田市の太平山三吉神社で開催される三吉梵天祭で、梵天と呼ばれる依代を神社に奉納する秋田固有の特殊神事。

2階展示室では秋田の伝統芸能について、着物や衣装、等身大の人形、パネルで紹介している。

秋田万歳という秋田地方に伝わる祝福芸能の一種でかつては正月に演じられていた。秋田万歳ではもう町まわりをする人はいなくなってしまったが、少数の伝承者が残っている。

太夫は紋付袴松竹鶴が背中に大きく染められた上衣、頭に侍烏帽子をつける。才蔵は紋付袴に頭巾、鼓を持ち、囃子舞には面も使う。正式の万歳では、太夫が扇をひろげて立ち、才蔵は鼓を脇にして座して囃す。(文化遺産オンラインより)

まつりで使われる太鼓。映像を見ながら太鼓をたたく体験ができる。

ねぶり流し館に併設している旧金子家住宅を見学する。

金子家は、江戸時代後期に質屋・古着商を営み、明治初期に呉服・太物(綿織物・麻織物)などの卸商を創業した。昭和50年まで、この店で商が営まれた。平成8年、所有者から秋田市に寄贈され、平成9年に江戸時代後期の伝統的な建物として、秋田市指定有形文化財となった。建物は、主屋一棟、土蔵一棟から成っている。
▼旧金子家住宅。秋田市有形文化財。平成8年、金子榮一氏より秋田市に寄贈された。

主屋は、玄関から蔵前土間に続く幅主屋は、玄関から蔵前土間に続く幅1.5mの「通り土間」が江戸時代の商家の特徴を現し、土間に面して各部屋が配置。


通り土間の上の「使用人部屋」や、台所の上の「女中部屋」など、いかにも商家らしい部屋が設けられ、屋根の上には火事に備えた天水甕が置かれている。


昭和初期の金子商店は太物(綿織物・麻織物)を主とし、餅・縞・足袋・布団地など多くの商品を扱っていた。卸専門のため、商品は店先に置かず、蔵の棚に置き仕入れ客を番頭が蔵に案内して商品を決めた。番頭は、それらを店に運び勘定して仕切(納品伝票)を客に渡した。ほとんどが掛け売りだったということだ。

そのほか、店では、品物の札付や、注文品の荷造り発送、仕入れ帳や大福帳などの整理を行っていた。この部屋は当時の店の様子を再現している。

創業当時のうち主屋は明治19年の俵屋火事で焼失し、翌20年に再建されたが、今残る土蔵は幕末に建てられたもので大火を逃れた。各部屋を画像でご覧ください。






ねぶり流し館から秋田駅までは1.2kmほどの距離。秋田市内の街並みを見ながら駅まで歩いていく。


帰りは15時11分発のこまち34号東京行き。帰りの新幹線では、ツマミや酒を買い込んで、旅の余韻にひたり、気持ちよく揺られ酒が進む。新幹線の連結が外れることなく、車両の不具合もなく無事に大宮駅まで運行し、帰途についた。

キュンパスの旅は秋田の名所がゆっくり見られ、楽しい2日間だった。やはり東北は日帰りよりも宿泊を伴う旅行の方が良いですね。ただ冬場の東北は雪の日が多く、名所めぐりも施設内が多く、海や山の景勝地は計画しづらいです。今回は2日間とも天気が良く、秋田県の街歩きや自然にも触れ合うことが出来ました。キュンパスはホントにいいフリーパス。JR東日本さん是非秋にも使えるキュンパスを発売してください。
秋田竿燈まつりの情報はこちら。

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